10月ね。

2007年10月1日 読書
シャッターのおろされた日曜日のオフィス街をふらふら歩いていたら、どこからか金木犀の香りが。すっかり秋ね。しかし秋って「秋ね」って感じですよね。夏だ!冬だ!春が来た!って感じとは違う、独特の何だかベレー帽かぶった感じ。ちょっとステレオタイプすぎるかしら。
ようやく仕事もひと段落し、空き時間に読書に没頭できる環境が出来てきました。植物が水を欲するように、脳が活字を欲しているのですごいスピードで読み続けています。時折こういうどんな本でもさくさく読める時期があるんですがどういうことなんでしょうね。これぞ「読書の秋」?この勢いでずっと読もう読もうと思って挫折している「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に挑戦しようと思います。絶対に結びつき得ないものを「このふたつはつながってる」っていう「思いつき」だけでどうやって結びつけていったのかという思考過程と、その力技がなぜ読者を納得させ得たのかという点にすごく興味があるんですが、いつも途中でくじけちゃうんですよね…。今度こそ!
週末読んだ本の中では内田樹さんの「村上春樹にご用心」が面白かった。内田さんの本って「いちばん用心しなくちゃいけないのはアンタだよ!」ってくらいわけのわからない説得力があるんですが、この本も油断すると「持ってかれる」本です。自分なりにわかったことは、村上さんのいう「倍音」とか内田さんのいう「響き」ってぼくが所属してる世界で言う「いい感じの尺」とちょっと似てるかも、ってことでした。それが身についてる人と身についてない人とでは出来上がったモノに大きな差が出来る、いちばんのもの。「感覚」とか「センス」って呼ばれてるものに近いかも知れない。ぼくにそのセンスがあるかどうかはわかりませんが、少なくともその感覚が「合わない」人との仕事は悲惨です。「言ってる意味がわかりません!」って顔されちゃうから。幸いここ10年くらいやってるスタッフはその「感覚」が共有できるので「ここ短いよね」っていえば「ああそうだね」って通じ合えます。わかりづらくてすみません。ああ、だからダウンタウンにせよナインティナインにせよ、独特の「間」を大事にする人は決まったスタッフとしか仕事しないのかなあ。でもそれを越えるとたけしさんみたいにどんなスタッフと組んでも自分のオーラをスタッフに伝染させてゆけるようになるのかなあ。う〜ん。
村上春樹から遠く離れてしまいましたが、村上春樹の解読本としてはこれ以上のものはおそらく(日本語のものとしては)二度と現れないだろうと思いました。内田さんが指摘しているように「父について書かない」村上春樹は日本の文壇にはたぶん「意味がわかんない」存在だから。村上春樹の「倍音」は聞き取れない人には絶対聞き取れない。ぼくは自分が同時代にその音を「聞き取れた」ひとりであることを幸せに思っています。かなり。
さあ、ラストスパートだ。仕事に戻ります。

村上春樹にご用心
ISBN:4903951006 単行本 内田 樹 アルテスパブリッシング 2007/09/29 ¥1,680

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